「抗生剤を飲んでいるのに全く効かず、一週間以上38度から39度の熱が続いている」という10代後半から20代の若年層において、極めて高頻度で見落とされているのが伝染性単核球症の症状と特徴です。
この病気は、主に唾液を介してEBウイルス(エプスタイン・バール・ウイルス)に初感染することで発症します。症状としては、扁桃が真っ白な偽膜で覆い尽くされるほどの強烈な扁桃炎に加え、首の左右にあるリンパ節の著しい腫れ、そして数週間にわたる弛張熱(上がったり下がったりを繰り返す高熱)が続きます。
最大の問題は、一般的な内科クリニックで外見だけを見て「重い細菌性扁桃炎」と誤診され、ペニシリン系抗生剤(アモキシシリンなど)を投与されてしまうケースです。伝染性単核球症の患者にペニシリン系薬剤を投与すると、アレルギーではないにもかかわらず、数日後に全身へ鮮紅色の激しい薬疹(皮疹)が出現するという特異な反応が起きます。さらに、ウイルスが全身のリンパ網内系を攻撃するため、肝機能障害(AST・ALTの急上昇)や脾腫(脾臓が腫れ上がること)を合併します。脾腫が起きている状態で無理に活動を続けると、腹部への軽微な衝撃で脾破裂を起こし、腹腔内大出血を引き起こす命の危機すらあります。