婦人科診療において最も基本的かつ有用なツールが「経腟超音波(エコー)検査」です。プローブと呼ばれる細い器具を腟内に挿入し、超音波の反射を利用して子宮や卵巣のリアルタイムな画像をモニターに映し出します。経腹エコー(お腹の上からの検査)と比べて卵巣との距離が非常に近いため、数ミリ単位の微細な変化を鮮明に観察できる点が大きなメリットです。
通常の正常な卵巣は長径2〜3cm程度ですが、腫瘍や炎症が生じると大きく腫れ上がります。卵巣の腫れがエコー画像に映し出された際、医師はまず「嚢胞性(内部が液体で袋状になっているか)」か「充実性(内部に固形の部分があるか)」かを確認します。水や血液などの液体が溜まっている部分は黒く抜け、細胞が密集した充実成分は白っぽく描出されます。
ただし、経腟エコーにおける卵巣がんの見え方には限界も存在します。画像上で「腫瘍があること」や「悪性の疑いがあること」は高い精度で判別できますが、エコー画像だけでがんの確定診断を下すことはできません。エコーはあくまでスクリーニング(ふるい分け)としての役割を持ち、異常が確認された場合は高次の画像診断や血液検査へとステップを進める必要があります。