裏千家を語る上で欠かせない巨星が、坐忘斎家元の父である第15代・千玄室(号:鵬雲斎大宗匠/ほううんさい)です。1923(大正12)年生まれの鵬雲斎大宗匠は、第二次世界大戦中に海軍航空隊(特攻隊)に志願した過酷な戦争体験を持ちます。
復員後、「一碗からピースフルネスを(Peacefulness through a bowl of tea)」の理念を掲げ、世界60カ国以上を歴訪。国連や各国首脳の前で茶を点て、茶道を通じた世界平和の実現に生涯を捧げてきました。百寿(100歳)を迎えて以降もかくしゃくたる姿で公務や執筆、講演をこなし、ユネスコ親善大使や日本・国連親善大使としても国際社会に平和のメッセージを発信し続けています。
当代家元の坐忘斎が国内の門弟統括や組織運営を盤石にする一方、大宗匠は精神的支柱として世界規模の文化外交を担うという、世代を超えた強力な二頭体制が裏千家の強みです。