藤井聡太の幼少期を語る上で欠かせないのが、対局に敗れた際に見せた激しい号泣エピソードです。温厚で物静かな現在の佇まいからは想像もつきませんが、子供将棋教室や大会での彼は、負けると盤にしがみついて周囲に響き渡る大声で泣き続けました。
小学2年生の時に参加した大会では、指導対局で谷川浩司十七世名人と対戦し、敗色濃厚となった局面で引き分けを提案されるも、それを拒絶して涙を流しながら指し続けたという伝説も残っています。勝負に敗れた悔しさを誤魔化さず、全身で受け止めるほどの凄まじい勝負への執着心がありました。
重要なのは、彼が「相手への不満」で泣いたのではなく、「最善手を指せなかった自分自身の不甲斐なさ」に対して涙を流していた点です。泣き止んだ後はすぐに盤面を振り返り、なぜ負けたのかを徹底的に検証する。この激しい負けず嫌いのエネルギーが、彼を異次元のスピードで成長させる原動力となりました。