全国を旅して悪を挫くイメージが定着している黄門様だが、実在のモデルである水戸藩主・徳川光寀(徳川光寀公)の歴史的足跡は、ドラマとは趣が異なる。史実の徳川光寀は、学問を推奨し『大日本史』の編纂に生涯を捧げた学者肌の領主であり、諸国を隠密旅行したという事実は存在しない。
だが、領民の暮らしを直接気遣い、意見を聞き入れたという徳川光寀の慈愛深いエピソードが、後世の講談や旅物語の着想源となった。テレビドラマが描いた黄門様像は、史実の徳川光寀が持っていた倫理観をベースに、日本人が憧れ続ける理想の指導者像として昇華された姿なのだ。