映画『湯を沸かすほどの熱い愛』杉咲花「下着シーン」の真相と名演の裏側

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』杉咲花「下着シーン」の真相と名演の裏側

映画『湯を沸かすほどの熱い愛』杉咲花「下着シーン」の真相と名演の裏側の要点を詳しく解説してご紹介します。

詳細を見る

多くの映画ファンが息を呑み、涙を流したのが、中学校の教室で繰り広げられるいじめのクライマックスシーンです。安澄は同級生たちから制服を隠され、黒板には心ない誹謗中傷が書き殴られるという過酷な嫌がらせを受けていました。「学校に行きたくない」と泣いてすがる安澄に対し、自らの死期を悟っている母・双葉は「逃げちゃダメ、立ち向かいなさい」とあえて冷徹とも思える厳しさで学校へ送り出します。

教室に足を踏み入れた安澄は、制服を奪われた極限状態の中で、身に着けていた体操着を自ら脱ぎ捨て、下着(インナー)姿となって教壇の前に立ち尽くします。そして、震える声と全身の力を振り絞り、クラスメイトに向かって「私の制服を返してください!」と絶叫するのです。

この衝撃的な演出の意図について、中野量太監督は「少女が己の殻を破り、理不尽な世界に対して自分の尊厳を取り戻すための闘い」として描いたことを明かしています。思春期の少女にとって最も恥ずかしく、晒したくない姿をあえてさらけ出すことで、羞恥心や恐怖に打ち勝ち、母の愛に背中を押されて一歩を踏み出す安澄の覚悟を象徴する、必然性を持った演出でした。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。