家庭でバイ貝を煮る際、誰もが直面するのが「砂噛み」と「特有の生臭さ」という壁だ。一流の板前が実践する下処理は、実は驚くほどシンプルでありながら出来上がりを劇的に変える秘訣が詰まっている。
まず不可欠なのが、表面のぬめりと汚れを徹底的に落とす作業だ。ボウルに入れたバイ貝に塩を多めに振り、殻同士を擦り合わせるようにしっかりと塩揉みする。白く濁った水が透き通るまで数回水を替えながら洗うことで、臭みの原因となる表面の皮膜を完全に取り除ける。
さらに、沸騰したお湯にサッとくぐらせる「霜降り」を施し、すぐに氷水へ落とす。これにより、身に残った余分な汚れや血合いが固まり、水洗いで綺麗に落とせるようになるのだ。砂抜きについては、海水と同等の塩分濃度(約3%)の食塩水に浸し、暗く静かな場所に1〜2時間置くことで、貝がリラックスして内部の砂を吐き出してくれる。