2001年、NHKで制作されたドラマ『光の帝国』。この作品こそが、ふたつの異なる世界で生きてきた若き才能を引き合わせた「奇跡の舞台」だった。当時、中村勘太郎(現・中村勘九郎)は歌舞伎の重責を背負いながら映像作品への進出を果たしたばかり。一方の前田愛は、子役時代から培った繊細な表現力で注目を集める実力派女優だった。
撮影現場での勘九郎の第一印象について、関係者は「とにかく真っ直ぐで、周囲を明るく照らすような熱量を持っていた」と証言する。対する前田愛は、静かな佇まいの中に芯の強さを秘めていた。セットの裏で待ち時間が生じるたび、二人は芝居の描写や互いの仕事への向き合い方について語り合ったという。伝統の街・浅草で育った若き歌舞伎役者と、スクリーン越しに多くの人々を魅了してきた女優。背景は異なれど、演じることへの純粋な情熱が二人を強く結びつけた。