なぜカブトガニの血は1L150万円?青い血液の秘密と医療の影

なぜカブトガニの血は1L150万円?青い血液の秘密と医療の影

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米国東海岸沿岸部(マサチューセッツ州からサウスカロライナ州)では、毎年春の産卵期を迎えると、医療用試薬の採取を目的として年間50万匹以上の野生アメリカカブトガニが海から引き揚げられます。その採血現場は、極めてシステマティックでありながら過酷な現実を内包しています。

捕獲された個体は専用施設へ搬送され、外骨格の汚れを洗浄された後、体を二つ折りに曲げた状態で作業台に固定されます。関節の隙間にある心膜腔へ太い中空針が突き刺され、心臓から直接全身の血液のおよそ30%がガラス瓶へと抜き取られます。採血作業は24〜48時間以内に完了し、生きたまま元の海へと放流される運用ルールが定められています。

かつてバイオ企業側は「採血後の死亡率はわずか3〜5%程度であり、個体群への影響は極めて軽微」と主張していました。しかし、海洋生物学者や環境保護団体が実施した追跡調査や学術論文によって、現場の不都合な実態が次々と浮き彫りになっています。

実際には、輸送時の過密や温度変化、採血の物理的ダメージによって、海への放流後に15%〜30%に達する個体が命を落としていることが判明しています。さらに生き残った個体であっても、失血による極度の衰弱から移動速度が低下し、産卵地へ回帰できなくなるなど、繁殖活動に重大な悪影響が生じていると報告されています。国際自然保護連合(IUCN)はすでにアメリカカブトガニを「絶滅危惧II類(VU)」に指定しており、アジア圏に生息するカブトガニに至っては生息地の埋め立ても重なり、より深刻な絶滅危機に瀕しています。

山崎 陸
著者

山崎 陸

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