ボールとシューズという道具の面でも、両者には明確な科学的・機能的アプローチの差異があります。
フットサルで使用されるボールは、大人のサッカー(5号球)よりも一回り小さい4号球規格を採用しています。しかし単に小さいだけでなく、内部に特殊な綿やウレタンフォームを充填することで反発性を大幅に抑えた「ローバウンド設計」が施されています。国際基準では、2mの高さから硬い床に落下させた際のリバウンドが50〜65cmの範囲内に収まるよう厳密に規格化されています。狭いピッチ内でボールが過度に浮き上がらないようにすることで、足元での素早いトラップとパスワークを促進する狙いがあります。
フットサル施設においてサッカースパイクが全面禁止とされている背景には、主に2つの明確な理由が存在します。
第1に、施設保護と怪我防止の観点です。体育館の木製フローリングやスポーツ用塩ビシート(タラフレックス等)、あるいは商業施設のショートパイル人工芝においてスタッド(突起)のあるスパイクを使用すると、床面を著しく破損させるだけでなく、スタッドが床に引っかかって足首や膝の前十字靭帯を損傷するリスクが跳ね上がります。また、至近距離での激しいボールの奪い合いにおいて、踏みつけによる大怪我を防ぐ安全対策でもあります。
第2に、技術的な操作性の違いです。フットサルではボールの勢いを完全に殺すため、あるいはフェイントをかけるために「足の裏(ソール)」でボールをコントロールする頻度が全体の40%以上を占めると言われます。サッカースパイクのような凹凸面では正確な足裏コントロールが困難なため、平らなアメゴム底の「インドア用フラットソール(IN)」や、微細なゴム突起が敷き詰められた「ターフ用ソール(TF)」が不可欠となるのです。