原作の真倉翔と作画の岡野剛という稀代のタッグによって生み出された『地獄先生ぬ〜べ〜』は、単に妖怪を退治する爽快感だけを売りにした作品ではない。彼らが漫画史に刻んだ真骨頂は、読者の日常のすぐ隣に潜む「日常の亀裂」を描き出す巧みなストーリーテリングにあった。
中でも「赤いちゃんちゃんこ」の回は異彩を放つ。「着せる」「袖を通させる」という日常的な動作が、一瞬にして逃れられない死の恐怖へと反転する。岡野剛の描く迫真の表情描写と、真倉翔が張り巡らせた心理的な追い詰め方は、当時の読者の幼心に消えない影を落とした。ホラーアクションというジャンルの可能性を、少年誌の枠組みの中で極限まで押し広げた快作と言える。