これまで本格的な洋菓子づくりといえば、正確な温度管理が可能な大型オーブンが必須とされてきた。しかし、近年の加熱調理家電の進化とレシピ開発の多様化により、その常識は覆されつつある。ノーオーブンスイーツと呼ばれる非加熱または簡易加熱で仕上げる菓子の領域は、いまや単なる「手抜き調理」ではなく、新しい食文化のカテゴリーとして確立された。
伝統的な製菓業に携わるプロの間でも、この変化を肯定的に受け止める動きが広がる。日本洋菓子協会の関係者も、家庭での菓子作りのハードルが下がることが結果として洋菓子ファン全体の裾野を広げていると指摘。道具の制約を超えたアイデアレシピが、食の楽しみ方を広げている。