彼の歩みを振り返ると、日本映画界の壮大な歴史そのものが浮かび上がってくる。1980年に公開された深作欣二監督の超大作映画『復活の日』。南極を舞台にした圧倒的なスケールの中で見せた草刈の繊細かつ力強い演技は、若き日の彼を日本を代表する主演俳優へと押し上げた。
それから四十年以上の時を経て、NHK連続テレビ小説『なつぞら』で魅せた頑固だが深い愛を持つ開拓者の祖父役は、日本中の涙を誘った。芸能界という移り変わりの激しい世界において、若き日の二枚目スターから、深みと哀愁をたたえた名バイプレイヤー、そして重厚な重鎮へと見事な変身を遂げた稀有な足跡。時代の空気を感じ取りながら自らの演技を更新し続けるその姿勢こそが、彼が長年にわたり第一線で愛され続ける最大の理由である。