「安全よりも盛り上がりや撮影のスケジュールが優先される風潮が、長年根強く残っていた」。そう語るのは、取材に応じたある元現場監督だ。事故発生後に発足した第三者による事故調査委員会による検証では、事前の危険予知訓練(KYT)の形骸化や、強風時の危険基準の曖昧さが次々と浮き彫りになった。
特に欠落していたのが、組織全体でリスクを予測して排除するリスクマネジメントの視点だ。関係者の長年の経験や勘に依存しすぎた結果、予期せぬトラブルに対処できない弱点が露出した。今回の調査報道によって判明したのは、個人の不注意ではなく、体制そのものに潜む欠陥だった。