認知症の原因疾患として国内で最も多くを占めるのがアルツハイマー型認知症だ。これまでの治療法は、低下した神経伝達物質を補うことで症状を暫定的に和らげる対症療法が中心であり、病気そのものの進行を止めることは困難とされてきた。
このパラダイムを大きく転換させたのが、レカネマブ開発プロジェクトをはじめとする抗アミロイド抗体薬の登場である。脳内に蓄積した病因物質アミロイドβを直接除去するこれらの疾患修飾薬は、治験データにおいて認知機能低下のスピードを大幅に遅らせる成果を証明した。
脳内の病理に直接働きかける治療選択肢が現実のものとなったことで、早期診断の重要性はかつてないほど高まっている。病気が高度に進行する前段階で治療を開始できれば、患者が自分らしく自立した生活を送れる期間を大幅に延ばすことが可能となった。