犬が快適かつ安全に散歩できる適正気温は、一般的に15度〜21度前後とされています。気温が22度を超えると運動時の体温上昇に注意が必要となり、25度以上は散歩を控えるべき危険ゾーンに突入します。
人間にとっての25度は「半袖で気持ちよく過ごせる陽気」ですが、犬にとっては人間でいう35度以上の猛暑日に匹敵する過酷さです。この認識のズレが生まれる背景には、以下の2つの決定的な身体的特徴があります。
まず、犬は人間のように全身から汗をかいて気化熱で体温を下げる機能を持っていません。汗腺(エクリン腺)は肉球などのごく一部にしか存在せず、主な体温調節手段は口を大きく開けてハァハァと息をする「パンティング」のみです。この呼吸による冷却効率は人間の発汗に比べて非常に低く、外気温や湿度が上がるとあっという間に体温調節が追いつかなくなります。
さらに見落とされがちなのが「湿度」の影響です。犬の散歩では気温だけでなく湿度のチェックが欠かせません。湿度がおよそ60%を超えると、パンティングによる唾液の蒸発が阻害され、体温を下げる機能が著しく低下します。梅雨の晴れ間や台風一過の蒸し暑い日は、気温が23〜24度程度であっても熱中症を発症する危険が跳ね上がります。