ビジュアルのインパクトと並び、視聴者に強い衝撃を与えるのが、帝がかぐや姫の邸宅へ予告なく忍び込み、背後から力任せに抱きつくシーンです。「そなたを宮中に迎え、私の思い通りにしてやろう」と言わんばかりの絶対的な自信をたたえ、「私の思いに応えぬ女などいるはずがない」と耳元で囁く姿は、現代の視聴者から見れば明らかな同意なきスキンシップであり、ネット上で「クズ」「ただのセクハラ暴君」と評される最大の要因となっています。
この場面において、かぐや姫は激しい生理的嫌悪と恐怖から自らの姿を一瞬消滅させて脱出します。ただ触れられたことへの嫌悪にとどまらず、「一人の人間としての尊厳を踏みにじられ、権力者の所有物として扱われた」ことに対する絶望の表れです。
この事件こそが、かぐや姫が無意識のうちに「こんな場所にはもういたくない、月に帰りたい」と激しく懇願してしまう直接のトリガーとなりました。帝の独善的なアプローチは、物語を破滅的なクライマックスへと向かわせる決定的な引き金だったのです。