フジテレビにおける嵐の歴史は、いきなりゴールデンタイムの華々しいスポットライトから始まったわけではありません。2000年代初頭、土曜昼や深夜の実験的な放送枠で地道にスキルを磨き、スタッフと二人三脚で独自の空気感を作り上げていった泥臭い下積み時代が存在します。
その原点とも言える伝説的番組が、2005年4月から2007年10月まで毎週土曜昼に放送された『まごまご嵐』です。メンバー2人がペアを組み、全国の高齢者夫婦の家に「一日だけの孫」としてホームステイするこのロケバラエティは、嵐というグループの人間的な温もり、相手の懐にスッと入り込む卓越した傾聴力を世に知らしめました。作られたスターではなく、等身大の青年としての魅力が開花したこの番組は、後のバラエティ路線の決定的な礎となります。
その後、知的好奇心探求バラエティ『GRA』などを経て、2008年4月に土曜昼12時枠で産声を上げたのが体感型アトラクションゲームショー『VS嵐』でした。クリフクライム、キッキングスナイパー、ローリングコインタワーなど、運動神経とチームワーク、そしてハプニング性を融合させたスタジオゲームは、子どもから大人まで幅広い視聴層を瞬時に惹きつけました。土曜昼枠での驚異的な支持を受け、番組は開始からわずか1年半後の2009年10月、木曜19時のゴールデンタイムへと堂々の昇格を果たします。
『VS嵐』の画期的な点は、嵐5人が決して「上から目線」にならず、どんな大御所ゲストやアスリート軍団に対しても全力でぶつかり、時に小競り合いを演じながらも温かい笑いに昇華させる「心理的安全性」をスタジオ内に生み出した点にありました。この空気が木曜19時というファミリー層が集う時間帯に見事にフィットし、11年以上にわたる長寿番組へと発展したのです。