青色Ledノーベル賞の真相と現在|3人の開発秘話と特許裁判の教訓

青色Ledノーベル賞の真相と現在|3人の開発秘話と特許裁判の教訓

青色Ledノーベル賞の真相と現在|3人の開発秘話と特許裁判の教訓の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。

2014年ノーベル賞の日本人受賞者として名を連ねた3人の足跡は、大学アカデミアによる粘り強い基礎研究と、民間企業の一技術者による破天荒な実用化開発という、対照的かつ奇跡的な両輪によって成り立っています。

赤崎勇氏と天野浩氏:名古屋大学で確立されたGaNの結晶成長とp型化

松下電器東京研究所時代からGaNにこだわり続けた赤崎勇氏は、1981年に名古屋大学教授に着任。当時学生だった天野浩氏とともに、誰もが見捨てたGaNの単結晶育成に挑み続けました。赤崎氏が遺した自著や手記には、「我一人荒野を行く」という不屈の覚悟が記されています。

2人が成し遂げた第1の突破口は、1985年にサファイア基板上に低温で窒化アルミニウム(AlN)のバッファ層を敷くことで、表面が鏡面のように平坦な高品質GaN単結晶の育成に世界で初めて成功したことでした。さらに1989年、天野氏が実験中に偶然発見した現象から、電子線照射によってGaNを電気の通り道となる「p型伝導体」へと変化させることに成功。半導体発光素子の心臓部である「pn接合」の扉を開いたのです。

中村修二氏:徳島の中小企業・日亜化学工業から放たれた量産への一撃

一方、徳島県阿南市の中小化学メーカー・日亜化学工業に勤務していた中村修二氏は、当時まったく無名の一研究開発員でした。会社の主力製品だった蛍光体材料の市場競争が激化するなか、中村氏は創業者・小川信雄社長(当時)へ直接直訴し、巨額の研究開発費とGaN研究への専念を取り付けます。

中村氏の手記『怒りのブレイクスルー』などで赤裸々に語られている通り、研究初期は学会の最新論文をなぞるのではなく、市販のMOCVD(有機金属気相成長)装置を自らバーナーで溶接・改造する泥臭い試行錯誤の連続でした。そこで生み出されたのが、原料ガスを上流と垂直方向の2方向から吹き付ける「ツーフローMOCVD(通称:サブフローMOCVD)」です。

中村氏はこの独自装置によって欠陥の極めて少ないGaN膜を高速成長させ、さらに安全かつ簡便な「窒素ガス雰囲気中での熱処理」によるp型化法を確立。1993年11月、実用に耐えうる超高輝度青色LEDの製品化を突如発表し、世界中の学会と競合メーカーに激震を走らせました。

清水 千尋
著者

清水 千尋

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。