インフレと円安の波が飲食業界全体を直撃するなか、なぜコストコはホットドッグを180円という信じがたい価格で提供し続けられるのでしょうか。噂される「フードコート値上げの真相」を紐解くと、コストコホールセール社が徹底する独自の経営哲学が見えてきます。
実態として、スライスピザやプルコギベイク、クラムチャウダーなどの一部メニューは、数年前と比較して数十円から百円前後の価格改定が行われました。しかし、創業者の強い意志を受け継ぐホットドッグだけは、ドリンク飲み放題付きで180円のまま据え置きが頑なに守られています。
小売流通の視座から分析すると、これは典型的な「ロスリーダー戦略(おとり商品)」の極致です。フードコート単体での利益を極限まで削る、あるいは原価割れに近い状態で提供することで、「コストコは圧倒的にお得だ」という強烈な心理的アンカーを顧客に植え付けます。コストコの主たる収益源は商品の粗利ではなく年会費収入であり、フードコートの満足度が会員の更新率を90%以上に引き上げる原動力となっているのです。