南鳥島レアアースの存在は、米中対立が激化する国際政治のチェス盤においても極めて重要な駒となっています。特に中国の反応とアメリカの反応には、それぞれの国家戦略が露骨に反映されています。
中国の国営メディアや資源アナリストは、南鳥島の開発ニュースが報じられるたびに「水深6,000メートルからの引き揚げはコスト的に不可能」「深海生態系への壊滅的な環境破壊を招く」といった懐疑論や批判的な論調を展開してきました。しかし、その過剰なまでの反応の裏には、これまで世界シェアの大半を握り、対外外交の強力なカードとしてきた「レアアース支配の終焉」に対する強い焦燥感が透けて見えます。中国にとって、日本が自前で重希土類を調達できるようになるシナリオは、東アジアにおける資源覇権を根底から揺るがす悪夢に他なりません。
対照的に、アメリカをはじめとする西側同盟国は、このプロジェクトを「経済安全保障上の最重要フロンティア」と位置づけています。米エネルギー省や国防総省(ペンタゴン)関係者は、電気自動車(EV)用モーターや風力発電、F-35戦闘機、誘導ミサイルなどに不可欠なジスプロシウムやテルビウムの対中依存度を引き下げる切り札として、日本の開発動向を注視しています。日米サプライチェーン強靭化の枠組みにおいても、日本の海洋資源開発はクアッド(Quad)連携の戦略的資源として極めて高い評価を受けています。