ネット上の掲示板やSNSでは、しばしば「ひき肉は良質な肉だが、ミンチは廃棄寸前の端材・くず肉を集めたもの」という根拠のない噂が飛び交うことがあります。しかし、これは完全な誤認です。
現代の日本の食肉加工流通において、ひき肉とミンチは単なる呼称の違いに過ぎず、原料肉の衛生規格や品質管理基準に一切の差はありません。HACCP(ハサップ)に沿った厳格な衛生基準が義務付けられている加工場において、鮮度の落ちた不良肉を混ぜることは法的に不可能です。
ただし、知っておくべきプロの現場知識として「挽肉とミンチの使い分けのニュアンス」が一部の職人や専門店で使い分けられている事実は存在します。
西洋料理のシェフや肉バルなどでは、伝統的な大和言葉の「ひき肉」を日常の惣菜用(細挽き肉)として捉え、フランス料理の「アッシェ(haché)」や英語の「ミンチ」を、あえて部位(ランプやイチボなど)を指定して粗く叩き切った「特製ミンチ」としてブランディングするケースが見受けられます。これは語感の持つモダンさや高級感を演出するためのマーケティング的使い分けであり、肉の安全性やくず肉といったネガティブな差異ではない点に留意が必要です。