妊娠初期に起こる性器出血の代表的な原因が絨毛膜下血腫です。受精卵が子宮内膜に着床すると、将来胎盤になる「絨毛(じゅうもう)」組織が子宮内膜の血管を侵食しながら根を張り巡らせていきます。このダイナミックな血管新生のプロセスにおいて、毛細血管が破綻して出血し、子宮内膜と胎嚢を包む絨毛膜との間に血液が溜まってできた血の塊(血腫)を指します。
妊婦健診時のエコー写真の見方として、医師は胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)の周囲を丹念に観察します。超音波画像において、羊水や血液などの液体成分は黒く抜けて映る性質があります。胎嚢のすぐ外側に、三日月状や半月状の「黒い影(無エコー・低エコー領域)」として描出されるのが典型的な絨毛膜下血腫の像です。
「出血が止まったのにエコーでは血腫が残っている」「出血していないのに血腫を指摘された」というケースも珍しくありません。これは、子宮口から外へ血液が排出されずに内部に留まっているためです。エコー画像上で血腫の境界が明瞭か、内部のエコー輝度が均一か不均一かを確認することで、医師は血腫が新しい出血によるものか、凝固して吸収過程に入っているかを判断しています。