ネット上のレビューや美術愛好家のコミュニティにおいて、郡山市立美術館に対して寄せられる声には、ある顕著な共通点があります。それは「地方都市の公立館とは思えないほどコレクションの質が高く、何度訪れても心地よい」という驚きと満足感です。
この高い評価の核にあるのが、日本有数とされるイギリス美術の充実度です。同館は開館当初から明確な収集方針を掲げ、19世紀イギリスの巨匠J.M.W.ターナーの水彩画やジョン・コンスタブルの風景画、さらにはロセッティやバーン=ジョーンズといった「ラファエル前派」の絵画や素描、ウィリアム・モリスのデザインワークまで、体系的な近代英国美術の系譜を網羅しています。イギリス美術をこれほど贅沢に常設展示できる施設は、国内でも数えるほどしかありません。
さらに、訪れる人を魅了してやまないのが、建築と自然環境の類まれなる調和です。建築家・柳澤孝彦氏(TAK建築研究所)が設計を手がけた館舎は、1994年に第35回BCS建築賞を受賞し、1998年には「公共建築百選」にも選定されました。美術館の大きなガラス窓からは、手入れの行き届いた芝生広場や木々の借景、その先には雄大な安達太良連峰が広がり、訪れた人々は作品の美しさだけでなく、空間そのものが放つ静謐な癒やしに包まれます。単なる「展示物を陳列する箱」ではなく、自然と美術が共鳴する設計思想こそが、口コミで絶賛が続く決定的な要因です。