2液性レジンを初めて扱う人が成功を収めるための絶対条件は、感覚に頼らない厳密な計量と、物理法則に基づいた撹拌手順を守ることです。プロの造形スタジオや工房で徹底されている基本動作を取り入れるだけで、失敗の確率は劇的に下がります。
まず必須となる機材が、0.1g単位で測定できるデジタルスケールです。一般的なキッチンスケール(1g単位)では、わずか数グラムの誤差が硬化不良の引き金となります。例えば、配合比率「主剤100:硬化剤50」の製品で総量30gを作る場合、主剤20.0gに対して硬化剤は10.0gでなければなりません。ここでキッチンスケールの四捨五入によって硬化剤が8.5gしか入っていなかった場合、実に15%もの計算狂いが生じ、完全にアウトとなります。2液性レジンの比率計算を行う際は、以下の計算式をあらかじめ把握しておく必要があります。
- 主剤(A液)の計算式:必要な総重量 ÷ (主剤比率 + 硬化剤比率) × 主剤比率
- 硬化剤(B液)の計算式:必要な総重量 ÷ (主剤比率 + 硬化剤比率) × 硬化剤比率
配合比が「2:1」のレジンで合計150gを作りたい場合、150 ÷ 3 × 2 = 主剤100g、150 ÷ 3 × 1 = 硬化剤50gとなります。計量時は先に粘度の高い主剤を注ぎ、その後に硬化剤を静かに足していくのがコツです。
計量が終わった後の2液性レジンの混ぜ方のコツとして、プロが実践しているのが「2カップ法(ダブルミキシング)」です。この技法は極めてシンプルですが、未硬化トラブルを根絶する絶大な効果を持ちます。
- 最初のカップ(カップA)に主剤と硬化剤を正確に計量する。
- 平らなヘラ(シリコンスパチュラや木製マドラー)を使い、カップの底面と側面の角を削ぎ落とすように、均一な力で3分間ゆっくりと混ぜる。空気を巻き込まないよう、ヘラを底から離さず「の」の字を書くように動かす。
- 混ざり合って一度白濁した液体が、完全に透き通るまで丁寧に撹拌する。
- 中身を別の清潔なカップ(カップB)へすべて移し替える。この際、カップAの側面や底に付着した未撹拌の液を無理に削ぎ落として入れないこと。
- 新しいカップBの中で、新しいヘラを使ってさらに1〜2分間しっかりと混ぜ合わせる。
この2カップ法を導入すれば、カップの縁に残った「硬化剤が混ざっていない主剤」が作品に混入するリスクを物理的にゼロにできます。冬場などで液が冷えて硬い場合は、計量前に主剤のボトルごと40℃前後のぬるま湯で10分ほど湯煎しておくと、サラサラとした低粘度になり、撹拌しやすくなるだけでなく内部の気泡が驚くほど素早く抜けていきます。