ネット上の言説において最も誤解されがちなのが、「ドラマの視聴率が振るわなかったために物語が打ち切られた」という見解です。しかし、これは実態と異なります。ドラマ版の結末があのような形になった最大の要因は、放送当時、神尾葉子による原作漫画がまだ連載中であり、最終的な結末を迎えていなかったことにあります。
『少年ジャンプ+』で連載されていた原作コミックスは、ドラマ終了から1年半以上が経過した2019年12月に全15巻で完結を迎えました。ドラマ版の最終回(第11話)では、音と晴が恵比寿ガーデンプレイスで互いの想いを確認し合うものの、決定的な抱擁やキスシーンは描かれず、「ここからが俺たちのスタートだ」という余韻を残して幕を下ろしました。これは当時、原作の展開を追い越さないための配慮であり、本来は映画化やスペシャルドラマによる完結編を視野に入れた脚本構成でした。
では、原作漫画の最終回はどのような結末を迎えたのでしょうか。以下に重要な展開を整理します。
原作のクライマックスにおいて、音は自らの心と真摯に向き合い、天馬への恩義や罪悪感を乗り越えて「神楽木晴と一緒に生きていくこと」を選択します。一方の天馬も、彼女の嘘や無理に気付き、自ら身を引く形で音の背中を押すという、極めて誠実で気高い別れを選びました。そして最終話では、英徳学園の混乱や神楽木家との軋轢を乗り越えた晴と音が、互いにかけがえのないパートナーとして歩み出す姿が明確に描き切られています。
つまり、ドラマ版で提示された「宙吊りのもどかしさ」は、原作コミックスを最後まで読むことで完全に解消される設計になっています。映像としての続編を待ち続けるファンの多くがこの事実を見落としており、「物語の結末を知りたい」という目的であれば、すでに完結している原作漫画を手に取ることが最も明確な解法です。