芳根京子の芸能界入りのきっかけを語るうえで、病気の克服は切っても切り離せない「核心的要素」です。高校1年生の夏、都内のライブ会場で友人と観覧していた際、現在の所属事務所からスカウトを受けました。
通常の高校生であれば、「芸能界なんて自分には無理」「学業があるから」と尻込みする場面です。しかし、彼女の思考回路は全く異なっていました。「中学であれだけ苦しい思いをして、一度は身体の自由を奪われた。せっかく治って動けるようになったんだから、舞い込んできたチャンスは全部やらないともったいない」と即断したのです。
この前向きなハングリー精神は、デビュー後のオーディション現場でも驚異的な強みとなりました。数千人が競い合うオーディションで連戦連勝を重ね、業界内で「オーディション荒らし」と評された背景には、過酷な病を乗り越えた者特有の胆力と、生半可な緊張には動じない腹の据わり方があったと関係者も口を揃えています。NHK連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロインの座を射止めたのも、まさにこの人間的深みが選考陣の心を打った結果でした。