『西郷どん』の成功を語る上で欠かせないのが、西郷吉之助が生涯の師と仰いだ薩摩藩第11代藩主・島津斉彬を演じた渡辺謙との共演です。ハリウッドでも確固たる地位を築いた渡辺謙の威厳とオーラは、大河ドラマの座長として初主演を務める鈴木亮平にとって、乗り越えるべき巨大な壁であり、最高の道標でもありました。 撮影初期、西郷が斉彬に見出され、江戸へと随行する下りでは、二人の間に漂う本物の緊張感がそのままフィルムに焼き付けられました。当時の現場取材によると、渡辺謙はカメラが回っていない場でも鈴木亮平に対して「大河の主役たる風格」を問い続け、鈴木もまたその期待に応えるべく全身全霊でぶつかっていったといいます。斉彬が急逝するシーンの撮影後、鈴木亮平が役の感情から抜け出せず、撮影裏で号泣し続けたというエピソードは、二人の関係性が演技を超えた師弟愛に達していたことを雄弁に物語っています。 さらに、原作・林真理子、脚本・中園ミホという女性トップクリエイターのタッグが描いた重層的な人物相関図も、鈴木亮平の演技を引き立てました。生涯の盟友でありながら最後は敵対することになる大久保利通役の永山瑛太(当時・瑛太)、過酷な奄美大島時代を支えた妻・愛加那役の二階堂ふみ、幼少期からの絆で結ばれた篤姫役の北川景子など、錚々たるキャスト陣が配置されました。鈴木亮平は中心でどっしりと構えながら、相手の芝居をすべて受け止める包容力を発揮し、まさに西郷隆盛の座右の銘であった「敬天愛人」の精神をスタジオ全体で体現していたのです。
鈴木亮平が魅せた西郷隆盛の真実|100Kg増量と迫真演技の舞台裏
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