フリー転身直後の2016年6月、山口氏は著書『総理』(幻冬舎)を上梓しました。同書は第2次安倍政権の誕生から日米首脳会談、消費税増税の先送り判断といった重大局面の裏側を、安倍元首相本人や菅義偉官房長官(当時)、麻生太郎財務相(当時)らの肉声を交えてリアルに描き出し、瞬く間にベストセラーとなりました。
続いて2017年には続編となる『暗闘』(幻冬舎)を刊行。政権中枢で繰り広げられる権力闘争や財務省との対立構造、外交交渉の緊迫した駆け引きを生々しく描写しました。一般読者にとってはスリリングな政治ドキュメントとして高く評価された一方、野党やリベラル系メディアからは「政権の公式見解を補強するためのプロパガンダ本ではないか」という強い批判も浴びました。
これらの著書は、山口氏が政権中枢の機密情報に直接触れられる唯一無二のポジションにいたことを証明する決定打となったと同時に、ジャーナリズムにおける「権力監視」と「権力への同化」の境界線をめぐる議論を引き起こす契機となりました。