感情的な配慮から広まった「子ども」表記ですが、国語学および漢字の成り立ち(字源)から検証すると、差別用語説には客観的な根拠が存在しないことが早くから専門家によって指摘されてきました。
「こども」という日本語の語源は、小さく可愛らしい存在を表す「こ(子)」に、複数を表す接尾辞の「ども(共・徒)」が付いたものです。「私ども」「野郎ども」に見られるように、本来の「ども」は仲間や複数を示す機能を持っています。中世から近世にかけて「子等(こら)」「子ども」として定着する中で、当て字(借字)としてたまたま「供」の字が充てられたに過ぎません。
文化庁の文化審議会国語分科会においても、この問題は綿密に審議されてきました。2010年の常用漢字表改定に伴う議論において、文化審議会は「子供の『供』は単なる当て字であり、差別的な意味合いや大人の従属者という意味を持つものではない」との判断を明確に示しています。「供養」や「お供」の字義を根拠にして「子供」を差別的と断定するのは、言語学的な事実を無視した過剰反応、いわゆる語源の誤解(民間語源)に基づく主張であると結論付けられました。