布袋寅泰と山下久美子の出会いは、1980年代半ばに遡ります。当時、BOØWYのギタリストとして頭角を現していた布袋寅泰と、すでにトップシンガーとして君臨していた山下久美子。アルバム『BLONDE』の制作を通じて意気投合した二人は、1986年1月に結婚を発表しました。当時のロックシーンを牽引するフロントランナー同士の電撃婚は、大きなセンセーションを巻き起こしました。
結婚生活において、布袋は山下に数々の名曲を提供します。「Lilith(リリス)」や「抱きしめてオンリィ・ユー」など、布袋が手がけたシャープなビートポップスは、山下の新たな魅力を引き出し、音楽的にも強固なパートナーシップを築いていました。しかし、公私ともに深く結びついた関係は、皮肉にも二人の境界線を曖昧にしていきます。
音楽プロデューサーとしての才能を開花させ、アーティストとしての世界観を拡大していく布袋と、彼をクリエイティブの核として絶対的な信頼を寄せていた山下。夫婦でありプロデューサーとシンガーという多重の関係性は、創作活動におけるプレッシャーやすれ違いを生む土壌となっていきました。そこへ決定的な亀裂をもたらしたのが、山下久美子の親友であった今井美樹の存在でした。