佐世保レモンステーキを語る上で最大のハイライトが、終盤の食事作法である。地元では常識とされる佐世保レモンステーキ 食べ方 鉄板ライスは、外食のマナーをあえて逸脱するかのような背徳的な魅力に満ちている。
その正しい手順は極めて合理的だ。まず肉が運ばれてきたら、まだ赤い部分が残るうちに素早く肉を裏返し、余熱で火を通す。肉を数枚、白米とともに味わった後、鉄板の上に肉を1〜2枚残した状態で、セットのライスを鉄板の中央へ躊躇なくダイブさせる。そしてスプーンやフォークを使って、鉄板にこびりついた焦げ目(メイラード反応による旨味成分)と、染み出た牛脂、レモンソースをご飯に余すところなく絡め取るのである。
なぜこの食べ方が生まれたのか。それは鉄板に残された液体が、単なる残り汁ではなく「調合が完成した極上の出汁」だからである。レモンの酸味は加熱によって角が取れ、まろやかな旨味へと変化する。そこに牛肉由来のイノシン酸と醤油由来のグルタミン酸が凝縮され、最高のガーリックレモンピラフが卓上で即興調理される。この作法を恥ずかしがってライスを投入せずに皿を下げさせてしまうことは、佐世保の食文化において「クライマックスを観ずに映画館を出る」に等しい大いなる損失である。