山梨を訪れる旅行者の多くが直面する「金精軒と桔梗屋の信玄餅は何が違うのか?」という疑問。パッケージの風呂敷包みやきな粉・黒蜜の組み合わせが一見似通っているため混同されがちですが、その出自と味の設計思想は対照的です。
まず歴史的背景を紐解くと、全国的な知名度を誇る「桔梗信玄餅」を製造する桔梗屋(1889年創業)が1968年に現代の形状であるきな粉餅を発売したのに対し、金精軒(1902年創業)は1972年に「信玄餅」という単独名称での商標登録を完了させています。発祥のルーツとしては、武田信玄公が陣中食としていた兵糧丸や、山梨の旧盆に食べられていた安倍川餅の風習が基盤にありますが、商標法上の「元祖・信玄餅」を名乗れるのは金精軒であり、桔梗屋は自社ブランドを冠した「桔梗信玄餅」として棲み分けを図っています。
素材の観点で際立つのは、金精軒の徹底した「米へのこだわり」です。日本穀物検定協会の食味ランキングで最高位「特A」を幾度も獲得している山梨県北杜市産の銘柄米「梨北米(りほくまい)」を贅沢に使用。米を精米する段階から自社で管理し、人工甘味料や保存料に頼らない素朴で力強い米本来の香りを残しています。