良かれと思って行っている日常のケアが、実は自らの手で顔の老化を早めている――このショッキングな現実を裏付けるのが、皮膚解剖学における「リガメント(皮膚支持靭帯)」の構造です。顔の皮膚は、骨から皮膚へと杭のように伸びる強靭な線維組織であるリガメントによって支えられています。ところが、美顔ローラーを上下に激しく往復させたり、強い力で肉を挟み込んでゴリゴリと揉みほぐしたりすると、この繊細な靭帯組織に過剰な物理ストレスが加わります。
日本形成外科学会に所属する専門医は、取材に対して次のように警鐘を鳴らしています。
「一度伸びきったり断裂したりしたリガメントは、自力で元の長さに戻ることはありません。胸のクーパー靭帯が切れるとバストが垂れるのと全く同じ現象が、顔の皮膚でも起きてしまいます。美顔ローラーで無理に皮膚を引っ張り上げる行為は、将来の雪崩のよう资源的たるみを自ら予約しているようなものです」
さらに見逃せないのが、摩擦によるたるみ・シミの危険性です。乾いた肌の上をローラーで擦り続けると、表皮のバリア機能が破壊され、慢性的な炎症が誘発されます。この微小炎症の刺激によってメラノサイトが暴走し、頬の高い位置に「肝斑(かんぱん)」や色素沈着がモヤモヤと広がる原因になります。特に、テレビやスマートフォンを見ながら無意識に何十分も同じ箇所を往復させる動かし方は、美顔ローラー逆効果の理由の最たるものと言えます。