多重債務者への聞き取り調査や家庭環境の分析を進めると、借金体質の共通点は「単にお金がなかった家庭」だけに留まりません。むしろ親のお金に対する向き合い方に歪みがあった家庭で育った人物ほど、成人後に深刻な金銭トラブルを抱えやすい傾向が見られます。とりわけ決定的な影響を与える要素として、以下の3つの成育環境が挙げられます。
第一に、「家庭内でお金の話がタブー視されていた、あるいは逆に金銭トラブルを子どもに丸投げしていた」という環境です。親が子どもの前で日常的にお金の不安を過剰に露呈させ「うちにはお金がない」と口癖のように否定し続けた場合、子どもは極端な欠乏感を抱いたまま成長します。その結果、社会人になって自分の裁量で使えるお金を手にした途端、過去の抑圧を取り戻すかのような衝動的浪費へと走ってしまいます。
第二に、「親自身が刹那的な支出を繰り返す家庭」です。給料日直後には豪勢に外食をし、月末には公共料金を滞納するような親を見て育つと、「お金は手元にあれば使い切るもの」「なくなれば誰かに借りるか支払いを先延ばしにすればいい」という感覚が正常な金銭管理基準として無意識にインプットされます。親の金銭感覚の影響は、良きにつけ悪しきにつけ、家庭内における「当たり前の常識」として子どもの脳に定着します。
第三に、「金銭を通じた歪んだ愛情表現」です。普段は感情的なコミュニケーションを取らない親が、機嫌を取るためだけに過度な小遣いや高額な買い与えを行っていたケースです。このような環境で育つと、「寂しさやストレスは物を買うことで解消するもの」という認知の枠組みが形成され、将来的な買い物依存症の原因へと直結します。