大友克洋の画力はなぜ世界を狂わせた?衝撃のパースと作画技法を徹底解説

大友克洋の画力はなぜ世界を狂わせた?衝撃のパースと作画技法を徹底解説

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1980年代の幕開けとともに発表された『童夢』は、漫画出版業界に決定的な断絶をもたらした。物語の舞台となったのは、どこにでもある巨大な公営団地。整然と並ぶ無機質な窓、コンクリートの質感、そして壁面に走る無数の微細なひび割れ。大友克洋は、日常の象徴であった団地という空間を、超能力者同士の凄惨な戦場へと冷徹に変貌させてみせた。

衝撃的だったのは、破壊の描き方だ。従来の漫画であれば激しい効果線やオノマトペで表現されていた衝撃を、大友は「壁が球状に窪む」「ガラスが幾何学的に粉砕される」といった物理現象の緻密な描写だけで視覚化した。音が消え、質量だけがそこにある。圧倒的な客観描写がもたらす冷徹なリアリズムは、手塚治虫以降の記号化された表現に慣れ親しんでいた読者と作家たちに、文字通りの激震を与えた。

山口 彩花
著者

山口 彩花

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。