小林武史というプロデューサーは、女性ボーカリストの魅力を極限まで引き出す天才として知られる。YEN TOWN BANDのChara、My Little Loverのakko、そしてSalyu。
その系譜の中でも、一青窈とのコラボレーションは異質だった。彼女は小林のコントロール下に収まるような従順なミューズではなかった。台湾ルーツを持つ彼女の土着的な情念と、昭和歌謡的な哀愁。これらが小林の洗練されたキーボードワークと衝突したとき、火花が散るような緊張感が生まれた。
「綺麗にまとまることを拒否する」ような一青のボーカルを、小林はあえてそのまま残した。だからこそ、彼らの楽曲には、何年経っても聴き手の胸を掻きむしるような生々しさが宿っているのだ。