インターネット上の掲示板やSNSでは、「お好み村は観光地化されすぎていて、地元の人は行かない」という言説が定期的に書き込まれます。この噂の真偽を検証すると、半分は事実であり、もう半分は文脈の誤解であることが分かります。
広島市民の多くは、自宅の近所や職場近くにある「行きつけの個人店」を日常使いする文化を持っています。住宅街の路地裏にある店舗が生活圏にあるため、わざわざ繁華街の新天地まで出向いてお好み村を利用する頻度が自然と低くなるのが構造的な要因です。
しかし、広島お好み焼きにおける地元民の評判を深く取材すると、出張者を迎えるアテンド先や、流川・薬研堀での飲み会後のシメとしてお好み村を重宝している地元民は数多く存在します。特に、各店のカウンターに座れば店主や隣の席の客と自然に言葉を交わすコミュニティ空間が成立しており、単なる大型商業施設にはない「人情味とライブ感」が維持されています。
「みっちゃん総本店」とお好み村の決定的な違い
観光客が最も混同しやすいのが、広島お好み焼きの元祖として知られる「みっちゃん総本店」とお好み村の関係です。みっちゃんとお好み村の違いを整理すると、以下の通りです。
- 店舗形態の違い:みっちゃん総本店は独立した路面店や商業ビル内テナントとして大型店舗を展開しており、お好み村ビルの中には出店していません。
- ソースの独自性:みっちゃんが独自開発の「オタフクソース特注品」や自社ブレンドを使用するのに対し、お好み村の全店舗は村専用に開発された「サンフーズ(お好み村専用ソース)」を使用しています。
- 空間体験:広々としたテーブル席で安定したサービスを提供する大型専門店に対し、お好み村は全店が鉄板を囲む十数席のカウンターのみで構成される「屋台集合体」の臨場感を重視しています。