「寝る前に飲むとリラックスできるはずが、夜中に何度も目が覚めてしまった」「妊娠中に良かれと思って飲んでいたブレンドが、実は禁忌ハーブを含んでいた」――こうした相談が、医療機関や助産師の元に少なからず寄せられています。なぜ、体に良いとされる一杯が逆効果を生んでしまうのでしょうか。
第一の要因は、ハーブが持つ固有の薬理作用に対する認識不足です。たとえば代表格であるカモミールティー安眠効果の背景には、フラボノイドの一種である「アピゲニン」が脳内のGABA受容体に結合し、中枢神経の興奮を鎮める明確なメカニズムが存在します。しかし同時に、カモミールはブタクサやヨモギと同じキク科植物です。花粉症などのアレルギー素因を持つ人が口にした場合、喉の痒みやアレルギー反応を引き起こし、睡眠を妨げる原因になり得ます。
さらに見逃せないのが、妊娠中・授乳中の選び方における厳密な基準です。妊娠期はわずかなホルモン変化や筋肉の収縮に対して母体が極めて敏感になります。リフレッシュ目的で選ばれがちなハーブの中にも、子宮収縮作用や通経作用(月経を促す作用)を持つ品種が存在します。
具体的には、カモミール(多量摂取時)、セージ、タイム、ローズマリー、ハトムギ(ヨクイニン)などは、妊娠初期から中期にかけての日常的な連用を避けるべきと専門医から指摘されています。一方で、出産準備のお茶として知られるラズベリーリーフも、子宮を刺激する作用があるため「妊娠8ヶ月以降の安定期に入るまでは厳禁」と位置づけられています。天然の植物だからこそ、医薬品に近い繊細な作用機序を持つという事実を忘れてはなりません。