舌下免疫療法にかかる費用を正しく把握するためには、「初診・検査の段階」「治療開始直後の増量期」「安定した維持期」という3つのフェーズに分けて考える必要があります。結論から言えば、全額自己負担となる自由診療ではなく、スギ花粉症およびダニアレルギー性鼻炎の舌下免疫療法には公的健康保険が適用される(原則3割負担)ため、巷で恐れられているような法外な高額請求が発生することはありません。
まず、治療開始前のハードルとなるのが初診料とアレルギー血液検査の費用です。舌下免疫療法を導入するには、問診だけでなく血液検査(特異的IgE抗体検査やView39など)によって特定のアレルゲンに対する抗体を証明しなければなりません。他院での直近の検査データを持参しない場合、初診時の自己負担額は約5,000円〜7,000円(3割負担)が一般的な相場となります。
検査結果が出て実際に投薬が始まると、最初の1〜2週間はアナフィラキシーなどの重篤なアレルギー反応を予防するため、低用量から体を慣らす「増量期」に入ります。クリニック内での初回服用後の経過観察や再診を挟むため、治療開始月の医療費は診察代と薬代を合わせて約3,000円〜4,500円程度を見込む必要があります。
体が薬に慣れた後の「維持期」に入ると、費用は極めて安定します。耳鼻咽喉科での再診料・処方箋料が約600円〜1,000円、調剤薬局で支払う舌下錠の薬剤費・調剤基本料が約1,400円〜2,000円(30日分処方の場合)となり、月々の実質負担額は合計で約2,000円〜3,000円前後に落ち着きます。容体が安定していれば長期処方(最大1〜2ヶ月分)が認められるケースもあり、その場合は通院頻度が減るため、診察料の分だけ年間の負担がさらに軽くなります。
これらを踏まえた舌下免疫療法の年間総額と推奨治療期間(3年間)の累計コストは次のとおりです。
- 1年目の年間総額:約25,000円〜32,000円(初回アレルギー検査代、初期の頻回通院を含む)
- 2年目の年間総額:約22,000円〜26,000円(月1回または隔月の定期通院)
- 3年目の年間総額:約22,000円〜26,000円
- 3年間の総支払額(3割負担の目安):約70,000円〜85,000円前後
3年間の治療総額が約8万円前後と聞くと、決して小さくはない出費に思えるかもしれません。しかし、毎年春ごとにドラッグストアで購入する高価な第2世代抗ヒスタミン薬や点鼻薬、点眼薬、さらには花粉対策グッズの出費が数十年にわたって続く現実を考えると、生涯コストの削減効果は極めて大きいと評価できます。