瞬間接着剤を取り扱う現場で、最も恐ろしく、かつ一般に知られていない危険行為が「接着剤がついた指をティッシュペーパーや衣服、軍手で咄嗟に拭き取ること」です。
主成分のシアノアクリレートは、植物性繊維である綿(コットン)や紙(パルプ・セルロース)に含まれる水酸基(-OH)と接触すると、爆発的な連鎖重合反応を起こします。この際に生じる反応熱は凄まじく、わずか数秒で80℃〜100℃以上の急激な発熱に達することが実験データで確認されています。実際に経済産業省や製品安全データシート(SDS)でも、繊維類との接触による火傷事故に対して厳重な注意喚起がなされています。
「手についた液体を慌ててティッシュで拭ったら白煙が上がり、指先がジュッと焼けて重度の水ぶくれになった」という事故は毎年のように発生しています。布や紙で拭く行為は、単なる接着トラブルを「皮膚の重度熱傷(火傷)」へと一気に悪化させる致命的なミスです。万が一液体が溢れた場合は、布や紙で押さえるのではなく、直接触れずに固まるのを待つか、大量の冷水で一気に熱を奪いながら冷却硬化させるのが正しい初動です。