鏡餅の下に敷く和紙は、神仏にお供え物を捧げる際の「神聖な敷物」であり、俗世の穢れから神饌(しんせん)を隔てる結界の役割を果たします。ここで最も多く寄せられる疑問が、半紙の表裏ツルツルザラザラのどちらを上に向けるべきかという点です。
結論から申し上げますと、「ツルツルした滑らかな面が表(上)」で「ザラザラした面が裏(下)」となります。半紙を手で触れてみて、指先が引っかかりなく滑る方を上にして台座やお盆の上に敷きます。これは半紙に限らず、あらゆる和紙や奉書紙(ほうしょがみ)において共通する慶事の不変のルールです。
続いて、鏡餅の半紙の折り方と向きの決定的な基準です。半紙を1枚または2枚重ねて使用する場合、もっとも伝統的な敷き方は「角を手前(自分側)に向けて菱形に置く」スタイルです。
半紙を折る際は、長方形の半紙をそのまま敷くのではなく、少しずらして折る「掻敷(かいしき)」の手法を用います。半紙を横長に置き、手前の下側を少し上に折り上げるか、あるいは対角線で三角に折る場合、慶事(お祝い事)では「右側の紙が上」になるように重ねるのが礼法(小笠原流礼法など)の鉄則です。左側が上になる重ね方は弔事(お悔やみ)の作法となるため、新春を迎える鏡餅では厳に慎まなければなりません。
また、周囲が赤い枠で縁取られた四方紅の折り方と向きについても同様の配慮が必要です。四方紅は「天地四方を清め、災いを払う」という意味を持ちます。四方紅を敷く際は、正方形の紙の角を正面(手前)に向け、菱形の状態で三方の上に配置するのが正式な飾り方です。四方の角がそれぞれ「東・西・南・北」を指すように配置することで、四方拝(しほうはい)に通じる厄除けの結界が完成します。