1990年代後半から子役として活動を開始した鈴木杏は、瞬く間に日本映画界のトップランナーへと駆け上がった。山崎貴監督のSF大作『Returner リターナー』で見せた圧倒的な存在感と少女らしい切なさは、国内外の映画関係者に強烈な衝撃を与えた。圧倒的なスケールの映像世界の中でも埋もれない、彼女のまなざしの強さは今も語り継がれている。
さらに、岩井俊二監督が手掛けた青春映画の金字塔『花とアリス』では、蒼井優とのダブル主演で瑞々しい演技を披露。少女期の曖昧で移ろいやすい感情を繊細に描き出し、アジア全域でカルト的な人気を獲得した。これらの名作で培われた「役の心象風景を身体ごと捉える技術」は、現在の多角的な芸術活動においてもすべての基盤となっている。