この考え方は決して突然変異的に生まれたものではない。根底には、二千年以上の時を超える深遠な思想の系譜が存在する。古代ギリシャの哲学者アリストテレスは、生命を構成要素の単純な足し算ではなく、全体として特定の目的や形態を実現しようとする「目的論的構造」として捉えた。これが後世の生命論の原点となる。
時代を下り、20世紀前半の英米哲学者アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは、物理的物質を静的な存在としてではなく、関係性とプロセスの集積として捉える「有機体論(Philosophy of Organism)」を提唱した。ホワイトヘッドにとって、宇宙に存在するあらゆる現象は相互に影響し合う「有機体」のプロセスだった。彼の哲学は、現代の複雑系科学や量子生物学の思想的バックボーンとして、今ふたたび熱い脚光を浴びている。