ロッテの歴代トップの歩みを振り返ると、戦後の混乱期から一代で巨大財閥を築き上げた創業期、兄弟による後継者争奪戦、そして現代の専門経営者への権限委譲という、日本ビジネス史の縮図が浮かび上がります。
創業者の重光武雄(辛格浩=シン・ギョクホ)氏は、戦後間もない1948年にガムの製造から事業をスタートさせました。武雄氏の卓越した商才によって、チョコレート、アイス、ビスケットへと領域を広げ、さらには韓国への逆進出を果たして一大財閥へと登りつめました。
その跡を継ぐ形でグループを支えてきたのが、長男の重光宏之(辛東主=シン・ドンジュ)氏と、次男の重光昭夫氏です。両者の学歴と初期キャリアを比較すると、経営スタイルの違いが鮮明に表れています。
昭夫氏は投資銀行出身らしい冷徹な計数感覚と国際金融の知見を持ち、韓国市場での化学・流通・建設といった重厚長大分野への進出を成功させました。この経営実績の差が、後の骨肉の後継者争いにおける勝敗を決定づける要因となったのです。