勢力図の変動を促している背景には、大きく分けて3つの構造的要因が存在します。単なる偶然ではなく、現場の育成環境が近代化した必然の結果といえます。
第1に、ラプソードやハイスピードカメラを活用したトラッキングデータの浸透です。従来は名門私学に限られていた動作解析や球質測定が公立校や中堅校にも広く普及し、短期間で球速アップや効率的な打撃フォームの習得が可能になりました。
第2に、香川県内の中学硬式野球(シニア・ボーイズ・ヤングリーグ)や軟式クラブチームからの人材分散です。かつてのように特定の上位校に有望選手が一極集中する傾向が薄れ、「1年生から主力として甲子園を目指したい」と考える球児が多様な進路を選択するようになりました。
第3に、低反発新基準バットへの完全適応です。長打力頼みの力攻めが通用しにくくなったことで、小技、走塁の判断力、配球の工夫といった「守備と戦術の質」を磨き上げたチームが、タレント力で勝る上位校を封じ込めるケースが増加しています。