現在の歌舞伎界において、二代目中村七之助 女形 評判は極めて高く、坂東玉三郎の後継者筆頭のひとりとして確固たる地位を築いています。1986年9月、歌舞伎座『助六由縁江戸桜』の茶屋廻り役で本名・波野隆行として初舞台を踏み、1987年1月、歌舞伎座『門出二人桃太郎』の弟桃太郎役で二代目中村七之助を襲名して以来、彼の中村七之助 舞台 経歴は常に挑戦の連続でした。
七之助の女形が多くの観客や評論家を惹きつける理由は、以下の3つの要素が絶妙に融合している点にあります。
1つ目は、「骨格と身体性の美しさ」です。すらりとした長身でありながら、肩の落とし方や膝の曲げ具合、首筋の角度などを徹底的に計算し尽くし、舞台上では小柄で儚げな女性に見せる技巧を身につけています。
2つ目は、「感情の陰影を表現する声の説得力」です。女形の台詞回しは人工的な裏声になりがちですが、七之助の声には哀愁と凛とした芯があり、赤姫(身分の高い姫君)の可憐さから、傾城(最高位の遊女)の艶、さらには情念に狂う悪女や幽霊に至るまで、人間の暗部を鋭く浮き彫りにします。
3つ目は、「坂東玉三郎からの直接指導による継承」です。玉三郎が演出を手掛けた舞台で『阿古屋』の遊女阿古屋や『天守物語』の富姫といった屈指の大役に挑み、所作の一つひとつから息遣いまで薫陶を受けた経験は、七之助の芸に計り知れない深みをもたらしました。