「川全体が温泉」という噂は誇張ではなく、物理的な事実です。尻焼温泉のシンボルである「川の湯」は、白砂川の支流である長須川(ながすがわ)を堰き止めた場所に位置し、川底の岩盤各所から約50〜56度の高温泉が自噴しています。川の水と川底から湧き出る源泉が自然にブレンドされることで、幅約15メートル、長さ約30メートルに及ぶ巨大な天然温泉プールが形成されています。
現地を調査すると、川底に敷かれた石の隙間から時折気泡とともに熱い湯が上がってくる感触を直接肌で体感できます。かつて痔を患った人々が川底の温かい石に腰を下ろして湯治を行い、「尻を焼いた」という伝承が温泉名の由来とされています。2026年現在も自治体(中之条町)や地元関係者の協力のもと、一般開放された公共の野湯として維持管理されていますが、豪雨による土砂流入や岩の配置変化により、深さや湯温の分布は季節や天候によって常に変動しています。