ヴィレッジヴァンガード下北沢店を語る上で欠かせないのが、「下北沢カルチャー発祥」の神話と、ネット上で話題になりやすい「バイト評判」のギャップです。
まず歴史的な事実として、ヴィレッジヴァンガードの発祥地は東京・下北沢ではありません。創業は1986年、愛知県名古屋市名東区の天白(植田)エリアで産声を上げました。しかし、1998年にオープンした下北沢店は、名古屋発の「遊べる本屋」という特異なビジネスモデルが、東京のサブカルチャーの総本山と運命的な融合を果たした記念碑的店舗です。全国にヴィレヴァンの存在を知らしめ、世間がイメージする「ヴィレヴァン=サブカル」のパブリックイメージを決定づけたという意味において、カルチャー発祥の精神的支柱と呼んでも過言ではありません。
一方で、求人サイトや掲示板などで目にするバイト評判については、華やかなイメージとの乖離に戸惑う声も見受けられます。ネット上のレビューを精査すると、現場のリアルな実態が見えてきます。
「好きな音楽や本に囲まれてPOPを書けるのは至福」「個性的な同僚が多く、人間関係の風通しは最高」という肯定的な評価がある反面、「段ボールの山を運ぶ過酷な肉体労働」「迷路のような配置ゆえの棚卸しの過酷さ」「売れ筋を読み間違えると在庫の山を抱えるプレッシャー」といったシビアな声も少なくありません。下北沢店で働くということは、単なるレジ打ちや品出しではなく、自らが目利きとなり、編集者となって棚をキュレーションするクリエイティブな重責を背負うことと同義なのです。
この「過酷でありながら自由」な現場環境こそが、長年にわたって尖った店員を輩出し、店舗独自の強烈な個性を維持し続ける原動力となっています。