春のアジサイ、秋のコスモス——般若寺の名を世界中に知らしめたのは、季節の草花を可憐に演出する「花玉」や「ガラスのコスモス」である。ガラス容器に張られた水面に鮮やかな花びらが浮かび、太陽の光を受けてキラキラと輝く光景は、まさに静寂の中に現れた小宇宙のようだ。
この取り組みは単なる「インスタ映え」の狙いではない。境内で育まれた花々が命を全うする最後の瞬間まで美しく輝けるように、という住職の深い慈悲の心から始まった。一輪の花、一滴の水に宿る美しさに気づかせる仕掛けが、多忙な現代人の心を静かに解きほぐしていく。